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それは、たとえ五大夜叉明王であれ、あるいは俺は、クシ屋の職人の貞さんだから、何も、そんな研究も、あるいは学問も修めたんじゃないのだから。まあまあ、釈迦が寝言を言った、胎蔵界とか、金剛界とかいうような、そんな妙なことばは、俺には分からん。
そんな連中が、回りを取り巻いて、俺を送るってなことを言ったそうだけれども、そんな者に守られなければならんような体ならば、守ってもらう必要はないんだ。何を言っているんだ!俺らの体は、お恵み様に守ってもらっているんだ。
形のない、形として取り扱う、あるいは、電源であるとか、空気であるとか、その中に見えざる、酸素とか炭素とか、いろいろなものがあるそうだ。俺は、喘息(?)だから、炭素のほうだろう。いろんな形のないものがある。あるいは、形のある、現実に食い物を食わなけりゃ、俺の体はないんだ。
それなのに、金剛界だ、胎蔵界だなんていったって、そんなことばが分かるか!冗談じゃない。この世の中でそんなことが分かるような人間が、一人でもおるかい」
注
「空王仏」とは法華経の授学無学人記品第九に、
「われ(釈迦のこと)阿難等と空王仏のみもとにおいて、同時に阿耨多羅三藐三菩提の心をおこしき」
と、釈迦の前世の師として登場する仏である。